下北沢映画祭

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Chapter03:ユーロスペース(渋谷)
取材させていただいた方:支配人 北條誠人さん

 

今回は、5、6年前から通っている、渋谷のユーロスペースにお邪魔してきました。
ユーロスペースは渋谷の奥、場所でいえば、Bunkamuraの近くに建つビル、KINOHAUSの3階にあり、オシャレでそして落ち着く空間が魅力の映画館です。
ラインナップも邦画、洋画問わず豊富なのが特徴で、旬なインディペンデント映画も上映されていて、映画ファンなら一度は足を運んだことがあるのではないでしょうか?そんな、ユーロスペースの裏側を、支配人である北條誠人さんに語って頂きました。是非、最後までご覧ください。

 

安斎(以下 安):本日は取材を受けていただきありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 

北條さん(以下 北):よろしくお願いいたします。

 

安:では、さっそく取材を始めさせていただきたいと思います。

 

1ユーロスペースについて
安:ユーロスペースには、さまざまな歴史がありますが、どのような経緯で今のユーロスペースが出来上がったのですか?

 

北:最初の頃、1970年代後半は、会社で、ドイツの自主映画を、ホールなどを借りて上映していました。そうして上映していく中で、毎回会場を借りるのではなく、「どこか1つ拠点を作って、買い付けた作品を上映したほうが良い」「拠点があることで、活動もお客様も定着するのではないか」という考えに至り、1982年に渋谷の桜丘にユーロスペースとして、〝小さな空間〟〝上映ができる場所〟をつくりました。当初は、上映だけではなくて、講演会(セミナー)や小規模なピアノコンサートなどを行う多目的なスペースでした。しかし、経営をしていくうちに、映画館として続けたほうが、収益性があるということがわかり、85年から映画館を常設しました。
それから、94年に、当時の建物の隣が空いたため、そこにもう一つスクリーンをつくり、「ユーロ1」「ユーロ2」として活動していきました。
しかし、10年以上テナントで借りていたため賃貸料を支払い続けるのが難しくなってきて。そんな矢先、現在の場所が空いたため、移転しました。
もちろん、単体での設立は難しかったので、シネマヴェーラ渋谷のオーナーである内藤さんと、当時入っていたTSUTAYAさんの3社で設立する合同事業としてオープンしました。

 

安:2階のオーディトリウム渋谷閉館後、ユーロライブが新設されましたが、お笑いや音楽LIVEなど様々な分野の公演があり、注目されています。その様に、多目的にした理由はありますか?

 

北:2点理由があります。1つ目は、まず渋谷に多目的に使用できる劇場がないことです。映画館を増やすのではなく、ある程度多様化できる場所が必要だと思ったからです。2つ目は、漫才や落語ができる場所を増やしたいということです。渋谷にはよしもとの劇場がありますが、自由に漫才や落語が楽しめる環境がないので、作りたいと思い設立しました。

 

安:その様な空間があると、フラッと寄って映画、音楽、お笑いが楽しめるというメリットに繋がりますね!

 

北:そうですね。また、1階も2月ごろから新しくカフェがオープンするので、お客様がゆっくりできる空間も増えます。

 

安:本当ですか!!それは楽しみになりますね!

 

2ユーロスペースのラインナップについて
安:ユーロスペースはメジャー、インディペンデント問わず様々な映画を上映していて、すごく豊かなラインナップだなと感じますが、決め方はどの様に行っていますか?

 

北:基本的に、自分が上映したいと思う作品を選択しています。また、選んだ結果が、インディペンデント、メジャーが組合わせられたラインナップになるというのがほとんどです。

 

安:そうなるとイベントも大変濃い内容になりますね。『まほろ駅前狂騒曲』のときも瑛太さん、松田龍平さんなど、人気俳優がゲスト出演されていてすごいなと。

 

北:まほろのイベントは、大盛況でしたね。たくさんのお客様に喜んでいただいたので、良かったと思います。

 

安:洋画だとどの様にラインナップを決めていますか?

 

北:第一に、自分で見て「面白いな」と思う作品を選んでいます。また、ミニシアターなので、一人の監督に着目して、作品の上映を続けています。

 

安:「ユーロスペースでは○○の監督作品が見られる」という印象付けになりますね。

 

北:一人の監督の作品を上映する=ミニシアターの「ブランド力」という昔からある考えの元、行っています。また、「単館の個性を出す」ということにも繋がるので。

 

安:なるほど。では、映画美学校さんの作品は上映しますか?

 

北:ケース バイ ケースですね。「面白い」「上映したい」と感じた作品は上映しています。

 

3映画を映画館で見る良さとは? 
安:ズバリ、北條さんが思う「映画館で映画を見る良さ」とはなんですか?

 

北:DVDでは感じられない「画の大きさ」、そして「人と見る緊張感」が魅力だと思います。理由としては、人が作った画を大画面で緊張して見たほうが、受ける感情はとても影響があるからです。例えば物語の中で、盛り上がる部分では「ひたひたと盛り上がってきているな~」と感じ一定のリズムで話が進む場面では「飽きてきてるな~」など、さまざまな感情を受け取ることができます。

 

4今後のミニシアターについて 
安:ミニシアターの将来について、どう感じていらっしゃいますか?

 

北:ひと言で言うと「分からない」ですね。でも明らかに時代は変わってきていますよね。僕らの時代は、上映する側の考えは、どの作品を選んで上映するかによって「自己表現」ができる時代でした。もちろん、「映画を作る」も自己表現ですが。しかし、3.11(東日本大震災)からは、「社会が求めているものは何か」を考え、あまり強いメッセージを打ち出さない作品の選び方も でてきていると思います。
そのため、僕たちが教わったことが、どんどん古くなってきているんだと感じました。
「劇場が力を持つ」ではなく、「社会が力を持っている」状態です。こういった時代の流れが変わらない限り、僕自身、ミニシアターの将来は「分からない」が続いていると感じます。
他に言えるとしたら、今のミニシアターは「どれだけ作り手に近づけるのか」が課題になっていると思います。作り手がしっかりとした作品を作る以上、ミニシアターもしっかりしていかなくてはと強く感じるからです。

 

安:ありがとうございます。実際、震災の後からは、映画のみならずすべての物事の流れが変わったと感じます。では、時代が変わった今、今後「上映する側」としてどうしていきたいか目標はありますか?

 

北:う~ん。難しいな。まずは、若い監督の作品をピックアップしていきたいです。若い人たちは「何を考えているのか」が気になるので、耳を傾けて聞いてみたいです。

 

安:そうなると、大きな世代交代になりますね。

 

北:そうですね。でも、最近はすぐに画が取れる環境があるので、どれも一緒に感じてしまいます。ピックアップせねばと思いますがとても難しい。
社会に投げかけているのに、「普通」になってしまい、隠していないのに「見せない」表現が多く、活気が失われつつあるのも印象的なので。
でも、若手に頑張ってもらいたいと強く思います。

 

安:ありがとうございます。

 

支配人 北條さんに聞いてみた!
~好きな作品と監督はなんですか?~
安:それでは北條さんに聞きます!まず、好きな監督はいますか?

 

北:宮崎駿監督ですね。理屈抜きですごく好きです!「風立ちぬ」は本当に感動しました。まさしく、フィナーレといった感じで。

 

安:特に好きな作品は?

 

北:「風立ちぬ」もいいんですが、「天空の城ラピュタ」です。最後のシーンがとても好きで。「信じて戦う」というのは、心にぐっときます。

 

~ユーロスペースでオススメの映画を教えてください~
北:すべてオススメですが(笑)特に!となれば5月頃に上映するウクライナの映画ミロスラヴ・スラボシュピツキー監督 デビュー作「ザ・トライブ」ですね。耳が聞こえない人たちの寄宿舎の物語で、一切セリフ、字幕なし。手話だけで物語が進んでいきます。私たちが、一番読み取る言葉、文字が一切ないので、彼らが「何を思っているのか」「何を行っているのか」を緊張してみることができる作品です。

 

もう一つは、夏に上映する大岡昇平の小説で 塚本晋也監督が作り上げた「野火」です。太平洋戦争末期 フィリピンの戦線で、戦う日本兵の物語。自主映画で作られた作品で、戦争映画で「よくここまで、撮れたな」と思えるほど、評価の高い作品です。
是非、気になった方はユーロスペースに足をお運びください!

 

ユーロスペース:http://www.eurospace.co.jp/
最新上映情報は上記サイトで、ご確認ください。