下北沢映画祭

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番外編:川越スカラ座(川越)

 

取材させて頂いた人:
支配人 舟橋一浩さん
番組編成・イベント担当 飯島千鶴さん
映写担当 成沢なぎさん
ボランティアスタッフ 山田勝彦さん

 

4回目から、番外編です。(笑)
1年ほど前からプライベートでお世話になっている、川越スカラ座さんへどうしても取材したく、行ってまいりました。西武新宿線本川越駅・東武東上線川越市駅から徒歩15分、明治からある風景、時の鐘など、歴史的建造物が立ち並ぶ街並みに、誕生から110年という歴史を持つ「川越スカラ座」はあります。
スタッフさんはみなさん、とてもフレンドリーで、お喋りしているとあっという間に閉館時間なんてことが多々。(いつも、すみません泣)
そんな、さまざまなところに魅力があふれる川越スカラ座さんについて語っていただきました。

 

川越スカラ座入口スカラ座グッズも販売中

川越スカラ座入口スカラ座グッズも販売中

 

1、川越スカラ座について
安齋(以下 安):さっそく、川越スカラ座さんについて聞いていきたいと思います。まず、はじめに「川越スカラ座」の由来について教えてください。

 

飯島さん(以下 飯):実は特に理由はなく(笑)
最初は、中山仁一さんという方が家族経営をされていました。しかし、中山さんが80代のころ、後継ぎがいないということで、特定非営利活動法人プレイグラウンドに運営が移りました。
館名については、ある時お客さんに由来について聞かれることがあったので、中山さんに聞いたところ、ご本人いわく、当時は「川越松竹館」という名前で、邦画を上映していましたが、洋画が増えてきたので、洋画に似合う名前をと考え「川越スカラ座」にしたと。(笑)

 

成沢さん(以下 成):深い理由もなく、多分、他の映画館もスカラ座だったとか、そんな感じですね(笑)

 

飯:そうなんですよ。だから、ほかのスカラ座さんとの横の繋がりはなく、各々独立しています(笑)面白いですよね(笑)

 

安:面白いですね(笑)当時の川越スカラ座は、川越の街にとってどの様な存在でしたか。

 

山田さん(以下:山):「大人の映画館」という感じでしたね。街の映画館としては、東映の直営館だったシアターホームラン(通称ホームラン劇場)さんがありました。ホームラン劇場は、子供向けの映画を上映したり、たくさんの邦画・洋画が上映されていて家族でも、恋人でも楽しめる劇場でした。また、座敷席があったりと今の映画館ではない「昔の映画館」という存在でした。

 

飯:そして、うち(川越スカラ座)は、大人向けの映画をメインで上映していて、洋画や、時には「南極物語」など大作を上映していたり。当時は、たくさんのお客様が足を運んでくださり、立ち見が出るほどの大盛況でした。

 

山田さん(以下:山):ラインナップが面白かったですね。70~80年代は、洋画邦画がかかった翌週に、洋ピンだけみたいな。(笑)

 

飯:なんで知ってるの!?

 

山:僕もいろいろ調べていたので(笑)

 

安:まさしく大人向けの映画館!ですね(笑)設立当初も映画メインだったのでしょうか。

 

飯:設立当初の明治38年は「一力亭」として寄席を行っていましたね。その後、改名を2回行い、多目的な場所として活躍していました。川越スカラ座の原点となる「川越松竹館」が昭和15年からなので、映画がメインになったのはこの頃からです。

 

安:やはり、100年以上の歴史があると、沢山の変化がありますね。変化があっても、今映画館として川越にあり続けるというのは本当に素晴らしいと思います。

 

トイレへ続く道。いろいろなポスターが貼られています。

トイレへ続く道。いろいろなポスターが貼られています。

 

2、ラインナップの決め方は?
安:川越スカラ座さんのラインナップは、どれも印象に残るものばかりで、いつもどの回を見ようかなと迷ってしまいます。どんな決め方を行っていますか。

 

飯:試写会や自分で見た作品で「面白い」と感じた作品を順次上映しています。また、年明けは多くの人が足を運んでくださるので、明るめな作品をと考えています。家族、友人や好きな人と楽しめる作品など。しかし、2月は、寒いからかグンとお客様が減ってしまうので、とにかく〝エッジ〟の効いた作品を上映することにこだわっています。たとえば2014年は、「冷たい熱帯魚」「凶悪」を、2015年は「メビウス」「愛のコリーダ」と話題性のある作品や、季節に応じた作品など選びましたね。

 

安:なるほど。基本的には旬な作品選びではないということですね?

 

成:そうですね。また、一般の映画館とは書き入れ時が違うのでできることだと思います。あとは、上映したい作品があっても、配給会社側の都合で上映できない時もあります。その場合は、スタッフで相談して組み合わせを考えています。

 

安:上映できないとなると、決めるのも大変ですね。その場合に備えてストックしている感じですか?

 

飯:そうですね。ここ最近、映画館がどんどん減っていっているので、「川越スカラ座で上映してくれませんか?」と沢山お声掛けがあり、そういう状態ができています。昔は、こちら側からお願いをしていたのですが、随分と変わりましたね。見切れないくらい、沢山サンプルDVDが送られる様になりました。

 

安:映画界にとって単館の閉館は本当に影響を及ぼしているんですね。次に、トークショーはどの様にされていますか?

 

飯:上映作品と同様で、配給会社側から、お声掛けしてくださることが多いですね。「監督いけます!」という感じで。それで、スケジュールを決めて行います。例えば、「滝を見に行く」の沖田修一監督はそうですね。その他に、「そして父になる」の是枝監督の様に、トークショーの依頼をして、すぐに返事をいただき、その後も「また来るよ」と言ってくださり、毎回来てくださる監督もいます。うちによく来てくださる監督は積極的にトークショーを行ってくださる方ばかりで、「沢山の映画館に行きたい」という印象が強いです。単館にとっては、かけがえのない存在です。

 

無人販売所 ビデオや、昔のチラシ・パンフレットなどが販売されています。

無人販売所 ビデオや、昔のチラシ・パンフレットなどが販売されています。

 

3、川越スカラ座さんの特徴!
安:次に、川越スカラ座さんの特徴を教えてください!まず、スカラ座さんは上映のほかに、ギャラリーや無人販売所がありますが、はじめられた理由は?

 

飯:う~ん。ノリです(笑)ここに販売所を置いたら面白いな~とか、壁ギャラリーはロビーでご飯を食べているときに、壁をみて「この壁使えるかも!」といった感じです(笑)

 

安:面白い(笑)では、ギャラリーについてですが定期的に変化がありますか?また、レンタルを希望される方は多いですか?

 

飯:2週間3000円で貸出をしているので、定期的な変化はありますね。2014年から始めたのですが、その年は9件の応募がありました。

 

安:さまざまな人の作品が見られますね!私が、訪れる際は、よく絵が飾られていて、どんなに暗い映画を見ても、作品を見るとホッと和みます。映画以外にも楽しめる映画館はともて素敵だなと思います。次に、場内のお席で2列目はテーブルが設置されていますが、設置された理由は?

 

成:設置したときは、まだいなかったので聞いたお話ですが、リニューアルの際に、前席にお客様に座っていただくにはどうしたらいいかという話になり、「テーブルを置いたらどうか」と考えられ、置いたそうです。この提案は結構好評で、常連さんはよく2列目を利用されています。マイカップを持ってきて飲み物を飲んだり、お弁当を持参して食べながら鑑賞したりみなさんのやり方で、いろいろ楽しく活用されていますよ。

 

安:それはいい結果につながりましたね。今度利用してみたいと思います!では、映画館の作りについてですが「体育館」のような作りにしたのは?

 

飯:現在の建物になったのは昭和61年だったので、理由は分からないです。しかし、現在の作りになるまで、ずいぶんと変わったそうです。昔からのお客様には「全然違うね」と言われるくらい。前は、2階建てだったそうです。現在のロビーが映写室で、2階には客席がありました。2階席の名残はまだあり、面白い形をしています。しかし、100年以上の歴史の中で、2回も火事にあっているのでどんどん変化していってもおかしくないですね~。

 

安:2回も火事に!?大変ですね。

 

飯:そうですね。火事になった時のお話は、お客様からお聞きしました。

 

成:スクリーン裏から出火したそうですよ。

 

飯:それで、その時の映写技師さんが、慌てて緞帳を閉めてしまったそうで、火が広がって、みなさん慌てて逃げてしまって。お話してくださった方は当時こどもだったそうですが、逃げようとする大人に踏まれたというくらい。死者がゼロだったというのが奇跡ですが。

 

安:貴重なお話ありがとうございます。

 

ロビー(この時はクリスマス)季節・上映作品に応じた、飾りが飾られます。

ロビー(この時はクリスマス)季節・上映作品に応じた、飾りが飾られます。

 

4、単館閉館が相次いでいる今について
安:前のお話にも出てきましたが、単館の閉館が相次いでいる状態についてどう思われますか?

 

飯:お客側として、通っていた映画館だと、ただただ寂しい。いつか行ってみたい映画館だった場合は、1度も行けずに終わるのかという切なさが残ります。運営側としては、「危機感」はないです。驚きはたくさんありますが…。でも、どこの劇場も、永遠に存在するとは考えられない。だから、今を頑張るしかないと思います。目先のことを考えて、面白いことをやって、そして結果として「続いている」「続けられている」で良いのではと。
また、先のことを考えて、潰れないようにと動くのは、本当に難しいし、考えていてもしょうがない。
考えたからと言って「絶対に残りますよ」という保証はどこにもないですから。うちより、お客様が入っている映画館でも、いろんな理由で閉館せざるを得ない状況があります。だから、どこかが閉館したからといって、どうしようと悩んでいる場合ではないなと思いますね。

 

成:前を向いて走っていたら、誰かが倒れた!でも、走り続けなければ!という感じですね。

 

飯:そう!
あと、本音を言うと閉館が決まったからと言って、それを聞きつけた人々が駆け込むかのように映画館に集まるのは残念だなと感じます。だったら、毎日じゃなくてもちょくちょく通って欲しかったと。

 

成:閉館をきっかけに集まった方をみると「こんなに来ていたら、閉館は免れたのでは」と思ってしまいます。

 

飯:なので、そういう状況を見ると、すごく悔しくて。

 

安:お客様あってこそ劇場が成り立ちますからね…。

 

飯:そうです!だから、「私一人がいかなくても閉館しないだろう」という考えはやめてほしいなと思います。「いつか行こう」ではなく「今日行こう!」と思ってほしいなと。
あとは、Facebookなどで「いいね」しているだけでは、劇場は続きません!告知や情報の拡散は大変ありがたいことですが、ぜひ足を運んでいただきたいです。これは、劇場に限っての話ではないので、共感していただける方が多いと思われますが。要するに、「行動しなければ変わらない」ということです!
だから、私たちは走り続けます。足を運んでくださるお客様が増えるのを楽しみにして。そして、自分の限界がくるまで倒れるまで走ると思います。
あと、閉館の話とは少し違いますが、映画ってどの映画館で見るかによって雰囲気や印象がかわってくるんですよ。だから、さまざまな映画館に足を運んでいただき、どこの映画館がこの映画には合っているのかと相性探ししてみるといいかもしれません。そして、お気に入りの映画館を見つけていただければなと思います。

 

安:ものすごく、心にグッときました。私も考えを改めます。

 

5、今後の映画館・映画はどうあってほしいか
山:とりあえず無くなってもらいたくないです。映画館に映画を「見に行く」っていう楽しみがなくなると寂しいですから。日常生活の一部ですし。

 

飯:私もそうですね。1週間に1本以上は、映画館で映画をみないとストレスが溜まって死にそうになります。これは大げさではなくて。映画って、見ている自分たちも別世界にいるような感覚になり、とてもリフレッシュできるんですよ。なので、無くなったらいやですね。むしろ本当に死んじゃいますよ(笑)

 

成:私もどんな形でもいいので、無くなってほしくない存在です。

 

安:生きている限り映画は見続けたいものですね。

 

川越スカラ座さんの支配人・スタッフが好きな作品!
(ここで、支配人の舟橋(以下:舟)さん登場!)

 

安:みなさんのお好きな作品とその理由を教えてください!

 

舟:ルキーノ・ヴィスコンティー監督作品「山猫」です。美しく壮大で「これぞ映画だ!」という作品です(笑)

 

成:岩井俊二監督作品「Love Letter」です。中学生か高校生の時にみて、感動しました。この映画が自分の青春そのものなので理屈なしで好きです。

 

飯:ピーター・グリーナウェイ監督作品「コックと泥棒、その妻の愛人」ですね。高校生の時に、渋谷のシネマライズで見ました。美しくて残酷で、クライマックスでは「これが映画だ!」と思ったほど!
その素晴らしさに気づいてからは、虜になりました。DVDも買いましたし。でも、当時高校の先生に「凄い映画をみた!!」と伝えたら、全然共感してもらえなくて、すごく辛かったです(笑)人生の全部を否定されているみたいで。と、いろいろな思い出がこの映画にはあります。
もう一つは、アレハンドロ・ホドロフスキー監督作品「ホーリー・マウンテン」です。すごく衝撃的で、これも「これが映画だ!」ということを思わされました(笑)1カット目から目が離せないし、しかも最後の最後で「うわ~やられた!!」って感じにさせられます。是非、見てほしい作品です。

 

山:セルジオ・レオーネ監督作品「荒野の用心棒」です。中学の時に出会い、感動して、それからはもう数えきれなくらい何回も見ています。それくらい好きですね。

 

安:ありがとうございました。

 

川越スカラ座さん!ありがとうございました。
ホントに、ほぼ本音で語っていただいたレポートとなりました。どなたにもすごく、グッとくることもあるのではないでしょうか。川越スカラ座さんは、上記以外に特徴としてお客様に自由に感想や意見を書けるお客様ノートがロビーにあり、また定期的にアンケートを行って、お客様の希望(これを上映してほしい!)などを聞くということを積極的に行っています。これほど、お客様との距離が近い映画館、本当に素敵ですし、できればずっと残っていてほしいと、私は思います。街の人、遠方の人にも愛されている川越スカラ座さん。益々のご活躍を願って、応援していきます!もちろん、通っていきますのでよろしくお願いいたします。

川越スカラ座看板

川越スカラ座看板

 

川越スカラ座入口外観

川越スカラ座入口外観

インタビューを受けてくださった方

インタビューを受けてくださった方

 

 

住所 〒350-0062 埼玉県川越市元町1-1-1

川越スカラ座への地図

 

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是非とも、あなただけの川越スカラ座さんとの思い出をつくってみてください!
http://k-scalaza.com/