第15回下北沢映画祭、最後となるGプログラムは”第15回下北沢映画祭コンペティション”です。
実写、アニメーション、ドキュメンタリーなどジャンルを問わずに公募を行うコンペティション。応募総数309作品の中からスタッフによる選定を通過した全12作品を上映し、ゲスト審査員によるグランプリと準グランプリのほか、観客の皆さまの投票による観客賞、下北沢商店連合会会長賞ほかを決定。授賞式の前には審査員とノミネート監督全員によるトークセッションを行います。
上映は12作品を三部に分けて、一挙公開。各部の最後には、監督と各作品の出演者の方からのご挨拶をいただきました。
全作品の上映が終わり、トークセッションが始まりました。トークセッションでは、監督お一人ずつに対して審査員からお話をうかがっていきます。
十川雅司監督『駆け抜けたら、海。』
銭湯でのダンスシーンの飛躍力に感極まったという轟夕起夫さん。十川雅司監督は作品の舞台となった銭湯のロケーションにこだわり抜き、都内中の銭湯に電話をかけたとのことでした。
鬼木幸治監督『FAAAWWW!!!』
とにかく出演者の皆さまの良い表情が印象的だったという沖田修一監督。鬼木幸治監督自身が大好きなキャストの皆さまを起用されているとのことで、制作チームの信頼関係をお伺いできました。
吉矢響平監督『懐胎新書』
中学生の生々しくリアルな感情が印象的な本作品。作中の登場人物たちのモデルや着想元についてコメントを頂きました。
宮島遥夏監督『まる』
コロナ禍におけるチームでの撮影の苦労についてお話しいただきました。映画祭スタッフから質問が上がった、作中に繰り返し登場する様々な”まる”のモチーフは、スタッフの団結の象徴でもあったそうです。
馬渕ありさ監督『ホモ・アミークス』
作品のラストに2年間悩んだという馬渕監督。轟夕起夫さんから、癖のあるシチュエーションの発想元について問われると、最初に思いついた面白い画からどんどん発想を膨らませていき、作品を作り上げたとお答えいただきました。
赤堀海斗監督『更けるころ』
日常的なシチュエーションでの自然体な会話劇が印象的な作品。主演のおふたりについて、特定の誰かになってほしいというよりも本人から滲み出てきたものを撮りたいという気持ちが強かったとコメントをいただきました。
山崎春風監督『花と修羅』
本作で初監督・初脚本を務めた山崎監督。着想元となった歌舞伎の東海道四谷怪談に触れた際には、登場人物に親近感を感じ共鳴したとのことです。
新海大吾監督『ぼくがこわい黒いもの』
幼い主人公の感情をやわらかなクレイアニメーションで表現した作品。中に何があるのかわからないという、海にたいする監督自身の苦手意識から、同じく中に何があるのかあるのかわからないお母さんのお腹の中への恐怖を描いたそうです。
akikojerry監督『妄想カンフー ~ダイナソー・ミッション~』
数々のカンフースターに会った轟夕起夫さんもお墨付きの本格カンフーアクション作品。akikojerry監督自身が沢山のカンフー映画を観て育ち、観ていてスカッとなるようなカンフーアクションが大好きだったそうです。
村口知巳監督『あたらしい世界』
見た目では変わっていないように見えるけど、何かが変わった”あたらしい世界”を表現したという村口監督。会話づくりは何十回も練り直し構成していった結果、小説的な部分を残した独特の文章になっていったとのことでした。
谷本桃子監督『彼は誰時(かわたれどき)』
ご家族と向き合いながらドキュメンタリーを制作された谷本監督。感傷的な部分と客観的な部分をどう折り合いをつけながら制作されたのか沖田修一監督から問われると、想いが強くなりすぎないように淡々と作り上げ、他の方にも観てもらいながら制作を続けていったとのことでした。
こささりょうま監督『LIKE THAT OLD MAN』
映画作品は本作が初監督となるこささりょうま監督。世代が違う主演のふたりの凸凹感のあるキャラクターを立たせるため、馴染みのある地元で撮影を行ったそうです。
トークセッションののち、総評として沖田修一監督からコメントもいただきました。
普段は監督側として立っていることが多いが、自分しか観ていないものをたくさんの人に観てもらう興奮を味わう良さを感じた。どういう想いで作品ができてるのか、作った人の顔を見ているとそれだけで感じられるものがある。これからもたくさんのものを作っていただきたいし、それが世界中を巻き込むものになっていってほしい。下北沢ってそういう場所だと思う。
授賞式
いよいよ各賞の発表です。
下北沢商店連合会会長賞『LIKE THAT OLD MAN』
小田急電鉄賞『まる』
京王電鉄賞『妄想カンフー ~ダイナソー・ミッション~』
観客賞『LIKE THAT OLD MAN』
沖田修一賞『更けるころ』
準グランプリ『LIKE THAT OLD MAN』
グランプリ『ホモ・アミークス』
皆さま、おめでとうございます!
第15回下北沢映画祭コンペティションをもって、第15回下北沢映画祭の3日間の全プログラムを終了いたしました。
作品をご応募された皆さま、ノミネートされた監督の皆さま、審査員の皆さま、そしてご来場の皆さま、誠にありがとうございました!